実現可能なセミリタイアの方法

臨時収入、資産運用、税金対策などを考えてみる

所得税と住民税の違いをまとめてみた

 確定申告の時期ですね。

 といっても、サラリーマンの方だと年末調整で終わっちゃって確定申告する機会がない人が大半かと思う。

 そもそも、サラリーマンの人は「確定申告って何なの?おいしいの?」

っていう感じじゃないのかな。

 

 自分も昔、税金については…

「税金って高いなぁ。でも払わなきゃいけいなし。」

「てか、給与から勝手に引かれてるし。」

「…まぁしゃーないし、いっか。」

 って感じで、ほったらかしにしてた。

 というか、難しくてよくわかんないから、考えることを放棄してた、って方が正しいかな。

 

 でも、実際に税金の勉強をしてみると、所得税と住民税のしくみは理解できた。

 毎年といっていいぐらい税制改正があって、税の計算は年々複雑化しているけど、計算の流れは変わってない。

 サラリーマンにとって、給与から天引きされている忌々しい税(?)である「所得税」と「住民税」についてまとめておく。

 

所得税とは?

 個人の所得に対してかかる国税

 1年間(1/1~12/31)の全ての所得から、所得控除を差し引いた残りの課税所得に、税率を適用し、税額控除を適用した後に税額を計算する。

 平成25年から平成49(2037)年までの各年分については、復興特別所得税分を上乗せして納付する。

 

【納付方法】

  サラリーマン年末調整時に、フリーランスや年末調整していない人は翌年の1/1~3/15に確定申告書を税務署に提出し、自分で計算した所得税(+復興特別所得税を納付(還付)する。

 

所得とは?

 その性質によって10種類に分かれ、それぞれの所得について、収入必要経費の範囲、計算方法などが定められている。

(例)給与の場合、総支給額から給与所得控除を引いたものが給与所得となる。

※給与所得控除額は総支給額により決まっている。(計算式がある。)

1 利子所得
2 配当所得
3 不動産所得
4 事業所得
5 給与所得
6 退職所得
7 山林所得
8 譲渡所得
9 一時所得
10 雑所得

※非課税となる所得もある。

 ※それぞれの所得については後に紹介する。

 

所得控除とは?

 控除の対象となる扶養親族が何人いるか、などの個人的な事情を加味して税負担を調整するもの。

 ↓に該当するものがあれば、申告することで税を減額してもらえる。

1 雑損控除
2 医療費控除
3 社会保険料控除
4 小規模企業共済等掛金控除
5 生命保険料控除
6 地震保険料控除
7 寄附金控除
8 障害者控除
9 寡婦控除・寡夫控除
10 勤労学生控除
11 配偶者控除
12 配偶者特別控除
13 扶養控除
14 基礎控除

※それぞれの控除の詳細については後に紹介する。

 

所得税

 課税所得(所得-所得控除)の額によって、税率が決まることになる。

 基本的に、高所得者ほど、税率が高くなる。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

所得税額】=課税所得 × 税率-控除額 となる。

(例)給与収入500万円、所得控除100万円のとき

給与所得は346万円となるので、346万-100万=246万

よって、所得税は246万×0.1-97,500=148,500円となる。

 

税額控除とは?

 特別な事情がある人に対して、所得税額から差し引く控除。

 ↓で身近なものは、配当控除と住宅関係の控除かと思う。

1 配当控除
2 外国税額控除
3 政党等寄附金特別控除
4 認定NPO法人等寄附金特別控除
5 公益社団法人等寄附金特別控除
6 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除
7 住宅耐震改修特別控除
8 住宅特定改修特別税額控除
9 認定住宅新築等特別税額控除
10 試験研究を行った場合の所得税額の特別控除
11 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除
12 中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除
13 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除
14 特定中小事業者が経営改善設備を取得した場合の所得税額の特別控除
15 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除
16 地方活力向上地域等において特定建物を取得した場合の所得税の特別控除
17 地域経済牽(けん)引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の所得税の特別控除
18 特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取得した場合の所得税の特別控除
19 革新的情報産業活用設備を取得した場合の所得税額の特別控除

 

所得税の計算方法

f:id:rtyou16:20181104145428g:plain

所得税】=(【所得(収入-経費)】所得控除】)×所得税税額控除

復興特別所得税】=【所得税× 0.021

 サラリーマンの人は年末調整時に、事業主や年末調整してない人は確定申告時に、所得税+復興特別所得税(以下、所得税とする)を納付することになる。

  ただし、源泉徴収税額があるときは…

源泉徴収税額所得税額+復興特別所得税

↑の計算により、マイナスになった場合は差額を納付し、プラスになった場合は差額を還付してもらえる。

 

 サラリーマンの人は、月々の給与から年間にかかる所得税を先払いしているため、年末調整時に所得控除(生命保険料控除、住宅ローン控除など)を申告することで12月の給与で調整(還付)されることが多いため、このしくみを理解していない人が多い。

 誰でも最終的に税金返ってきたらラッキーと思って、所得税が高いことを気にしなくなる。

 ホントに日本の年末調整制度は、国民から税金を徴収するという意味では良く出来ていると思う。(雇用している給与支払者にとってはメイワクな制度だが。)

 

住民税とは?

 ここでいう住民税とは、個人住民税のことであり、「市町村民税」と「都道府県民税」を合わせたもののこと。

 基本的な考え方は所得税と同じで、個人の所得に対してかかる地方金。

 1年間(1/1~12/31)の全ての所得から、所得控除を差し引いた残りの課税所得に、税率を適用し、税額控除を適用して税額を計算する。

 所得や所得控除もほとんど同じだが、一部計算方法が所得税と違うところがある。

 (基本的に、所得控除額は住民税の方が少なく計算される。)

 

所得税と違うところ

復興特別所得税がない

 住民税には復興特別所得税はない。

 が、それに変わるものとして、均等割の額が平成26年度(平成25年分)より増額されている。

均等割と所得割の2つがある

 「均等割」と「所得割」の2つを合わせて住民税を計算する。

 均等割とは、ある程度所得がある人は最低限の税額は納付してもらいます、という意味での固定の額

 所得割とは、所得に応じて負担する額。※(所得-所得控除)×税率 で求めた額。

 【住民税】=【均等割】+【所得割】

  税率は固定

 所得割を計算するときの税率は10%であり、基本的に全国一律となる。

(条例で定めて増減している市町村がいくつかある。)

 均等割の額も、基本的な額は5,000円だが、同じく市町村により増額しているところがある。

非課税の制度がある

 所得税は「(所得-所得控除)×税率-税額控除」の計算で納付するべき税額が発生した場合は納付しなければならない。

 しかし、住民税には「非課税制度」がある。

非課税になる条件

1.生活保護法によって生活扶助を受けている人。

2.障害者、未成年者、寡婦寡夫で前年中の合計所得金額が125万円以下の人。

3.前年中の合計所得金額が次の金額以下の人。

(1)扶養親族のいない

28万円

(2)扶養親族のいる

28万円×(控除対象配偶者、扶養親族の合計数+1168,000円

※扶養親族は15歳以下の扶養親族を含む。(以下、扶養者数という。)

注意点

 上記の「28万円」と「168,000円」は生活保護法の規定による級地区分に準じているため、市町村によって変わる。(上記は3級地の例)

【1級地】

扶養親族なし:35万

扶養親族あり:35万×(扶養者数+1)+21万

【2級地】

扶養親族なし:315,000

扶養親族あり:315,000×(扶養者数+1)+189,000

所得割だけ非課税

1.(所得-所得控除)×税率-税額控除 が0円以下になるとき

2.前年中の総所得金額等が次の金額以下の人。

(1)扶養親族のいない

35万円

(2)扶養親族のいる

35万円×(扶養者数+132万円

 こちらはどこの市町村も計算方法は一律です。

 非課税となる所得の計算と大きく違うのは「合計所得金額」ではなく、「総所得金額」である点です。

 これについては、ややこしいので後日まとめておきます。

税額控除が違うところが多い

 基本的に住民税の税額控除は少ないです。

 元々、住民税の税額控除はほとんどなかったのですが、税制改正するごとに増えていき、複雑化しています。

 主な税額控除は、調整控除、配当控除、住宅ローン控除ぐらいです。

納付方法がいろいろある

 所得税の納付方法はシンプル。

 納付書で金融機関で払うか、口座登録をしておいて引き落としてもらうか、電子納税するか、である。

 住民税の納付は複雑だ。

 これは国(総務省)が決めていることなので市町村の責任はないのだが、クレームは市町村にされるのでたまったものではない。

 また、住民税は昨年中の所得等に基づき、半年遅れで(6月に課税決定し)税金の請求が来るので、納税者が理解しにくいというデメリットがある。

<納付方法>

・納付書払い(口座振替

・給与からの特別徴収(給与差し引き)

・年金からの特別徴収(年金差し引き)

 ※納税者が給与と年金とそれ以外の所得がある場合、最悪3パターンで別々に納付しなければならなくなる。(これがわかりにくい。)

住民税は賦課課税

 所得税は原則として申告課税

 自分で所得税を計算してもらって、納付が必要になれば確定申告書を提出して所得税を納付してください、というスタンス。(自己責任)

 ただ、ちゃんと申告していないと、税務署で調査して申告漏れがあったらペナルティありますよ、ということになる。

 対して住民税賦課課税

 住民税を計算するのは自治体(市区町村)であり、納税者ではない。

 自治体が調査した内容で、一人ひとりの税額を決定することになる。

 

まとめ

所得税は国に納める税金、住民税は自分の住んでいる都道府県・市区町村に納める税金。

所得税と住民税の考え方は、所得が多いほど税金も高い。

所得税と住民税は計算方法は似ているけど、「所得控除」「税率」「非課税基準」などの違いもある。

所得税は申告課税、住民税は賦課課税。