ふるさと納税はマジでオトク…だけど
だいぶ前から世間を騒がせてる「ふるさと納税」。
制度を正しく理解できてる人にとっては、国からの最高のプレゼントになっています。
いろんなサイトで説明してくれていますが、税務職員というプロから見た「ふるさと納税」について解説していきたいと思います。
ふるさと納税とは
市町村や都道府県に寄付をすることで、通常の寄付より多くの減税を受けることができる「寄附金税額控除」の一つです。
ふるさと納税の目的
<国の目的>
・ふるさとや応援したい自治体に寄付をしてほしい。
・たくさんの人に利用してもらいたいので、通常の寄付より多く減税しますよ。
・国全体で見ると一人あたり最低でも2,000円は多く税金を払うことになるので税収UP♪
<地方の目的>
・地方では、地域の子どもを育てるために多大な税金を負担している。
・でも18才になれば、大学に行き、地元に帰ってくることが少ない。
・じゃあその子を18才になるまで負担していた税金を、少しでもその子(が転出した自治体)に払って欲しい(回収したい)。
・自分の自治体を応援してくれる人を増やしたい(いっぱい寄附金が欲しい)。
…他の自治体に負けないような返戻品が必要だなぁ。
ふるさと納税したときの減税
ふるさと納税したあとに、確定申告 or ワンストップ特例申請をすれば、税金が減額されるしくみとなっています。
確定申告すれば所得税+住民税、ワンストップ特例申請すれば、所得税分を住民税に上乗せして減額してくれます。
さて、減額の計算方法ですが・・・
正直、この減額(寄付金税額控除額)の計算は、ワザと一般人が計算できないようにしているのか、と思うほど複雑にしています。
これを自分で計算する人は…いないと思いますが、一応↓に説明しておきます。
ポイント
ふるさと納税する年(1月~12月)の収入(所得)を基に控除額が計算されます。
なので、今年の収入が確定していない時点で、先にふるさと納税しなければならないため、正確な上限額というのは誰も計算することはできない、ということです。
(正確に言うと、支払ってる社会保険料や生命保険料、扶養している人の収入などによっても変わります。)
1.所得税から控除 … 確定申告しない場合は、この分も住民税から減額される。
(寄付金額-2,000円)×(自分の所得税率×1.021%)
※上限:総所得金額等の40%
2.住民税から控除 … 基本分+特例分
- 基本分:(寄付金額-2,000円)×10%
※上限:総所得金額等の30%
- 特例分:(寄付金額-2,000円)×{90%-(自分の所得税率×1.021%)}
※上限:住民税の所得割額の20%
↑で計算した控除額は、次年度の住民税の減額に充てられます。
毎年給与しかない人だと、毎年の住民税もだいたい同じぐらいだと思います。
仮に控除額が6万円だとすると、来年の6月分の給与から引かれる住民税が5千円ずつ下がっているような感じです。
(給与からの特別徴収は年度が6月分~翌年5月分となっています。)
でも、これを自分で計算できる人って何人いるの?
ってぐらいややこしいです。
まず、単語がよくわかりません。
この計算をするには、当然ですが「所得税率」「総所得金額」「所得割額」の3つがわからないと話が進みません。
所得税率
所得税率を調べるには、給与所得者(サラリーマン)で給与以外に収入がない人であれば比較的簡単です。(下記で説明)
が、給与以外にも収入があるときは、所得が変わってきますので所得税率も変わる場合があります。
また、途中で退職したり再就職したりして、うまく年末調整できていない人は所得から計算しなきゃいけないです…。
ということで、自分の所得税率を調べるだけでもメンドーです。
【所得税率の早見表】
課税される所得金額 | 所得税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円超~330万円以下 | 10% |
330万円超~695万円以下 | 20% |
695万円超~900万円以下 | 23% |
900万円超~1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
「課税される所得金額」とは「所得-所得控除」の額。
※源泉徴収票ある人は「給与所得控除後の金額-所得控除の額の合計額」のこと。
(例)所得350万円の人は、所得税率20%での計算となります。
総所得金額
普通の人は総所得金額の40%、30%の壁に阻まれることはまずありません。
説明していると長くなりますが、簡単に言うと↑で説明した「課税される所得」(所得-所得控除)のことです。
※住民税専門用語集を作ったら、そこで説明します。
住民税所得割額
曲者なのは特例分の上限である「住民税の所得割額の20%」です。
ココはちゃんと計算しておかないと、文字通り「ただ、ふるさとに納税しただけ」になってしまいます。
ココで失敗して2,000円以上の負担をしている人は多いです。
(欲深い人ほどギリギリ攻めすぎて失敗してる。)
と言っても、これまた普通の人は所得割額なんて知りません。
各自治体は、納税者にちゃんと納税通知書なり税額通知書で住民税の所得割額を通知しています。
そのお知らせを見るだけで解決しますが、無くしてしまっている人も多いです。
【住民税所得割額の確認方法(給与所得のみ)】
減額シミュレーション
(例)給与所得350万円(他収入ナシ)の人が、年間6万円ふるさと納税した場合
(所得税率:20.42%、総所得350万円、住民税の所得割額33万円で計算)
1.所得税からの控除
(6万円-2千円)×(20%×1.021) = 11,843.6円
2.住民税からの控除(基本分)
(6万円-2千円)×10% = 5,800円
3.住民税からの控除(特例分)
(6万円-2千円)×{90%-(20%×1.021)} = 40,356.4円
※所得割の上限は33万円×0.2=66,000円のため、特例分は40,356.4円。
よって、ワンストップ特例を使う場合は、
11,843.6+5,800円+40,356.4=58,000円
となり、来年度の住民税から58,000円控除される計算となります。
結論
・自分で計算できないときは、素直に「ふるさと納税計算サイト」で概算しましょう。
・正確な額を調べたい、自分が調べるのがメンドーだからといって、自治体に問い合わせするのはやめましょう。
(今年の所得や控除が確定していない状況で、自治体職員がテキトーな上限額を回答できる訳がないので、答えてくれません。)
・どうしても余分にふるさと納税したくない(自己負担2,000円に抑えたい)人は、試算額より少なめにしましょう。